ゆっくりソファから起き上がったあたしは、辺りを見渡した。
そして、少し俯いてついさっきまでのことを思い出す。
ーあれから。
すぐに泣き止んだあたしは、玲汰先生から離れた。
そして、
「あの、ありがとうございました。いつも寝室借りちゃってるんで、今日はソファで寝ます」
玲汰先生は一度心配そうな表情を見せたが、
「分かった」
毛布をあたしに渡すと、寝室へと消えて行ってしまった。
玲汰先生はもうパジャマ姿だったし夜も深かったため、当たり前と言えば当たり前。
だけど、一気に訪れた静寂に不安を持ったあたしは、寝てそれを消してしまおうと毛布を被って横になった。
……けれど、一度抱いた不安感は決して消えてはくれず、すぐに起き上がってしまったのだ。
よく考えてみると、電気も消してないし寝れる状態ではないんだけど。
「最低……か」
あたしはそっと、夢の中で夏希が言った言葉を思い出した。