「で、なんでこんなことになってんの?」
そう目の前にいるスーツ姿のおっさんは、紙を片手にあたしに訊ねた。
あたしはさっきこの目の前にいるおっさんに渡されたペンをくるくる回した。
「書いたじゃん」
「あのなー、【流れで】じゃ分からんだろ。その流れを教えてって言ってんだよ」
おっさんは、呆れた様に紙を机に投げるように置き、座っているソファに凭れかかった。
あたしは周りを見渡した。
この黒いソファはどう見ても安物で、中のスポンジが見えている。
書類がいっぱい入ってそうな銀色の棚が沢山ある。
ここは仕切られていて狭いけれど、やっぱり中は広い。
「あのさ、警察ってそんなんなの?」
あたしも持っていたペンを机に置くと、ソファに凭れた。
ここは警察署。
あたしはとあることでここに連れて来られた。
時計は午前2時30分を指していた。
「ああ、そんなんだ」
おっさん……というのはいわゆる刑事って奴だ。
「へぇー」
「はい、じゃあその流れ教えろ」
この刑事さんがうざったく聞くから、あたしはため息を一つ吐くと、
「ただ親とケンカしてー、家飛び出してー、1人で歩いてたらおっさんに声かけられたからついてっただけ」