数学とかめんどい。

ほら。だって皆携帯いじってんじゃん。
まあ、こんなよぼよぼの爺さんの話聞いたって、滑舌悪すぎて何言ってるかわかんないし。

皆につられて私も携帯を開くと、LINEが十数件来ていた。

そのうちの一つは、私の兄からだった。

佐原 悠斗:忘れ物した!今日アフター無いから急がなくていいけど4時には届けてくんねえ?

アフター....その言葉から、わかる人もいるだろう。

兄の仕事はホスト。

えらく人気らしい。

そういえばこの間、No.1だぜ。って自慢してたなあ。何て思いながら返信する手を動かした。

凛:いいよ。忘れ物って何?

兄の返信を待っている間に他の子からきてるLINEを返.....そうと思ったが、すぐ既読がつき、返信が返ってきた。

佐原 悠斗:財布

凛:了解( ̄^ ̄)ゞ

と、まあ、こんなやり取りをしていたらチャイムが鳴った。

「では、これで授業を終わりますーーー....。」

という、数学教師を呆然と見つめた。