予想していた通り、屋上のドアには大人の拳よりも大きくて、頑丈な南京錠が取りつけられていた。

絶望感が漂う。
しかし、それを打破するように、一花がジャラリとカギの束を取りだした。
どういうわけか、カギの束から水滴が滴り落ちている。

【屋上】とプレートがついたカギを、さしこみ、南京錠を開け、ドアを開いた。

杏奈たちは、屋上の外へと飛び出した。杏奈は、屋上の床に倒れこんだ。
はあっはあっ、と、血生臭い空気をすべて吐き出し、外の新鮮な空気を肺いっぱいに吸い込む。


勇吾はすぐにドアを閉めると、背中でガードした。

夜空には、満月が浮かび、星がまたたいている。
校舎の中が地獄だということがウソのように外は静かだった。

「一花、そのカギどうしたんだよ?」

勇吾が、ぜえぜえ、と肩で息をしながらきく。杏奈もそれが気になっていた。

「ああ、さっき逃げていたときに、またあの警備員の死体の前を通りかかったの。なにか武器になりそうな物はないかと思って、探していたらこれがあったのよ。役に立つんじゃないかと思って持ってきたけど、正解だった。血がべったりついていたから、洗うのが大変だったけどね……」

一花は、濡れたカギを投げ捨てた。