『あ、紗弥?お母さんね、紗弥の家の鍵無くしちゃったみたいなの』
「はぁ?」
『いや、あのね、家のなかにはあるんだけど』
人んちの鍵なくしたら、危ないでしょ。
「で?」
『スペアキーを、いただけないかなーって』
「あー、ハイハイ、わかった」
引き出しに入れてあった鍵をバッグに入れ、実家に帰るために家を出た。
『お母さん今外なの。来てくれる?』
そう、メールが来て、わたしはなんの疑いもなく待ち合わせ場所に向かった。
「は?」
なぜか、お母さんと、お母さんの正面にお母さんと同じくらいの年の人、
それから、
「なんで……」
一紗が、座っていた。
「あぁ、紗弥遅かったのね」
「こんにちは、紗弥さん」
「こ、こんにちは……」
待って。
どう考えてもおかしい。
この状況。
「紗弥、突っ立ってないで座りなさい」
「あ、」
やだよ!
これ、どう考えてもお見合いだよ!
「同じ会社だから知ってるかもしれないけど、奈良原さんと、お母さん」
「初めまして」
ニコッと微笑む一紗母。
「は、じめまして」
「よっちゃんとは高校からのお友達なの」
よっちゃん……
うちのお母さん!!
「それでね?娘と息子が産まれたら是非って」
是非……?