ケータイ小説 野いちご

花の名は、ダリア

散らない花は美しいか


神仏分離令が布告されたのは、慶応四年三月。
つまり二か月ちょい前だ。

だが幕末から既に、『尊王』の名目による仏教弾圧は行われていた。

無駄に仏像をブっ壊し、無駄に坊主を追い出し、無駄に寺を焼き払う。

管理されていない廃墟にタチの悪い輩が集まるのは古今東西不変の道理で、結果、犯罪者の巣窟となった廃寺が点在する世になった。

もうちょい治安に本気出せ。

ソージがダリアに教えた場所も、そんな廃寺の一つ。

ダリアが『血の記憶』とやらから読み取った場所が、本当にソコなのかはわからない。

バーサンの孫が、本当にソコにいるのかはわからない。

だが、二人を追う手懸かりは他にない。

苔むした石の階段をなんとか登りきったソージは、上部が打ち砕かれて変な形のオブジェと化した元・石灯籠の陰に、素早く身を隠した。

素早くっつってもさー…

もうフラフラですケドネ!?
膝ガっクガクですケドネ!?

既に満身創痍ですケドネ───!?

咳が出ないように浅い呼吸を繰り返して息を整え、境内の様子を窺う。

荒れ果ててマスネ。

ハイ、想定内。

中央に、早々に秘孔突かれて『ひでぶ』しそうなアウトロー系オヤジが四人、小さな火を焚いて酒盛りしてマスネ。

コレも想定内。

けれど… ナニカがおかしい…


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