一つの命が消えゆく様を、ソージは見つめていた。

日溜まりに進み出たダリアが、今はない命を抱きしめるように自らの身体に腕を回し、

『おやすみなさい、安らかに…』

と優しく呟くのを、ただ見つめていた。

正直に言おう。
ワケがわからない。

サムのヤツ、なんで死んだの?

殺る気満々で。
罠張って。
『穢れし者』爆弾まで炸裂させといて。

生きてて良かった、なんてホザいた挙げ句、なんで自ら黒焦げになったの?

ワケがわからないし、スッキリしない。

ナニがどーしてこーなった?


「ダリア、アイツとナニを話してたンです?」


逆光で影になったダリアの背中に、ソージは問い掛けた。

振り返らぬまま、彼女は答える。


「んー…
モノ言うモノはモノ扱いしてる、とか…」


「うん?ナニ?」


「他はね、間違った世界を正す悪魔に…
あら?コレ、おかしいわね。
正義の味方だったかしら?」


「え?あー…んんん?
ごめん、ちょっと意味わかんない。」


「そうよね。
だから私も、わかんないって言っといたわ。」