ケータイ小説 野いちご

花の名は、ダリア

散らない花は美しいか


冷静になって考えてみると、やっぱり忍者かも知れない。

影分身なんて余裕なのかも知れない。

だってね?

昨夜は茫然としすぎててスルーしちゃったケド、屋根飛んでたよ?あの人。

よじ登る、なんてモンじゃなく、手を掛けた直後にワンステップで塀の上だったよ?あの人。

身のこなし。
身体能力。
共に普通じゃない。

それに、あの人自身も普通じゃない。

江戸が官軍に制圧されて一段落したしたとは言え、やはりまだ国は乱れている。

国が乱れると人々の心が荒むのは世の常で、辻斬りや強盗、最近では若い女ばかりを狙った誘拐まで横行していると聞く。

そんな中。

若く美しい、しかも異人が。
一人キリで。
あんな夜更けに。
こっそり水を貰いに来る。

うん。
どー考えても普通じゃない。

何者なんだろう?

何をしていたンだろう?

お迎えの天女ではないと言うのなら。
ただの人間だと言うのなら。

いったい、あの美しい女は…

と、ずっとそんなコトばかり考えていたせいで、ソージは一日中上の空。

昼過ぎに食事を持って来てくれたバーサンが、
『とうとう頭にキタか…』
なんて首を振りながら帰ったが、それすらも上の空。


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