優しげに微笑みながら神は言った

君を生かしてあげる、と

代償はあるが、婚約者への愛が本物ならば、君は耐えられるだろう、と

あぁ…

天にまします我らの父よ
与えたまえ、与えたまえ、与えたまえ…

僕は神の足元に跪き、祈った

神は僕の命を奪い、新たな命を与えた

そして僕と婚約者は、神の前で永遠の愛を誓った

けれど、それは間違いだった


神は神ではなく、悪魔だった

与えられた命は命ではなく、呪いだった


僕は人を喰らってしか生きられない、バケモノになってしまった…


愛する妻を喰うことだけは、なんとか自制した

が、身体の奥深くから、脳の奥深くから、僕の全てから、尽きることなく人食の欲求が溢れ出す

涙を流しながら誰とも知らぬ人を貪り喰らう僕を見て、優しげに微笑みながら悪魔は言った

やっぱり精神論でなんとかなる問題じゃないね、と

また失敗だ、と


そして悪魔は去った

僕らを残して…