鳩羽に連絡を入れると昼の2時に会うことになった。その前にと一ノ瀬は若芽に電話を入れた。

「ああ、若芽か?頼みたいことがある。東雲と一緒に調べてくれ。」

「先生、もし僕の仮説が証明されたら…。」

直哉が、目を伏せた。すると一ノ瀬は、直哉の頭に手をのせた。

「確かに残酷な結果になるかも知れない。でもな、人間ってそんなにやわじゃない。誰かが支えてあげれば倍の力だって出るんだぞ。今のお前らみたいに。」

一ノ瀬は、目を細め優しく微笑んだ。

一ノ瀬たちは、鳩羽に会うため前にも行ったファミリーレストランにへ向かった。

「あっ、一ノ瀬さん!」

鳩羽は、窓際の席に座っていた。

「あの、茜は見つかったんでしょうか?」

「はい。見つかりました。そして生きています。」

「よかった。…ほんと…よかった。」

鳩羽は、目を潤ませながら噛み締めるように言った。

「で、どこに?」

「それが、今彼女はある事件と関わっていて。会える状態ではないんです。」

「事件…ですか?」

「はい。ですがもうじき必ず会うことになります。それまでご辛抱下さい。」

一ノ瀬の真摯な対応に鳩羽は何も言い返すことはなかった。

「話しは変わるんですが…。」

一ノ瀬が、切り替えた。

「鳩羽さん、鶴橋葵という女性を知っていますか?」

「鶴橋…葵さん?んん…。僕の周りには葵という女性は…。」

直哉が、タブレットを取り出してきた。

「こんな顔なんですが…。」

そこには彼女のモンタージュ写真があった。

「お前!いつのまに…。」

「あのあと若芽君に頼んで作って貰ったんです。役にたつかなって。」

「お見逸れしました。」

一ノ瀬は、数回頭を縦に振りながら言った。

数秒間、鳩羽は写真を見つめた。そしてポツリと呟いた。

「…マモルか?…」