一ノ瀬は、席を立ち

「ついてこい。」

とリビングを出た。皆は、一ノ瀬に続いた。

ガチャ…。

玄関近くの南側の部屋に入る。中は真っ暗で何も見えない。一ノ瀬は、ドア付近のスイッチを押した。

ピッ…ササ---。

すると闇に慣れていた目に大量の光りが入ってきた。自動でカーテンが開き絶景が目の前に現れた。そして2台のパソコンと作業用の机と椅子が人数分。ちょっとしたソファとテレビといった小さな会社が出来ていた。

「…すげえ。」

東雲の口から言葉が漏れた。

「フフン…だろ?」

一ノ瀬が得意気に言った。

「まず、席の配置を行う。パソコンがある席は、若芽だ。もうひとつは、私が使う。」

「何でだよ!」

一ノ瀬の言葉に直哉と東雲が同時にツッコンだ。

「パソコンなら俺が一番できる。資格も持ってるからな。」

直哉が言うと

「こいつはどーでも良い、俺もパソコンが必要なんだよ。」

東雲も割り込んできた。

「資格があるのは頼もしい。だが教科書が教えないことも若芽はできるんだよ。水柿の頭のキレを必要とする場面はちゃんとあるから待ってろ。東雲、お前はだいたいイカガワシイサイトを見たいだけだろ。先生にはお見通しだ。」

直哉は、納得がいかず不満気だった。東雲は、口を尖らせただけだった。

「あの…依頼が入ったって先生言ってましたよね?」

若芽が話を本題に戻した。

ああ!

一ノ瀬は、部屋の中央にあるテーブルに資料を出してきた。各々、自席のキャスターつきの椅子で集まった。

「今回の依頼者についてまとめてある。これを見てくれ。」

大量の資料の数々にげんなりした。だが次に一ノ瀬は、人数分のタブレットを配った。3人が拍子抜けしていると

「タブレットあんのにその資料いんのかよ。」

東雲が、気だるげに突っ込みを入れた。

「最新の技術も良いが原始的なやり方も必要なんだよ。皆、忘れるなよ。」

一ノ瀬は、ウインクし人数分のUSBカードも一緒に渡した。

「そのタブレットは、レンタルだ。まあ、無料サイトは許す。だが天の邪鬼の活動に関係ない有料サイトや何か商品を買った場合、金はちゃんと請求する。容赦なしにだ。」

顔は、笑顔だが目はマジだった。