「決まったからには、明日から始める。明日は、ここに集まってくれ。」

そう言って一ノ瀬はそれぞれに一枚の紙を配った。

「どこだよ?ここ。」

東雲が尋ねると

「秘密基地。」

フフと得意気に一ノ瀬は言ったのだった。

直哉が、目覚めたのは朝10時だった。昨日は色々あって疲れた。下に降りると朝御飯が出来上がったところだった。

「ごめんね。お母さんも寝坊しちゃった。」

フッと笑顔を母は見せた。だがその中に喜びや楽しみは含まれていない。顔を歪めた?が近かった。

「いいよ。夏休みだし…。それから俺午後出かけて来る。」

「そう。昨日のよる9時にお母さん帰って来たんだけど直くん疲れてたみたいでぐっすり眠ってたけど…。学校?」 

「違うよ。外部活動みたいなもの。」

「外部活動?ボランティア?」

「まあ、そんなとこ。」 

直哉は、最後に味噌汁をすすり

「ごちそうさま。」

と席をたった。細かく説明するのはめんどくさかった。

支度をしているとあっという間に午後12時になっていた。お昼ご飯を済ませ身支度をサッと済ませ家を出た。

昨日行った店の近くか…。

直哉は、ナビ機能を使って住所の場所を探した。家を出て20分ほど自転車をこいだとき目の前に高層マンションが現れた。

「…ここが!?」

直哉は、ナビを確認した。だがナビは、狂いなくゴールを指していた。確かに直哉の家も一般家庭と比べるとかなり裕福で家も一軒家で立派な物だった。だが一ノ瀬の家は、比べ物にならなかった。

紙をよく見てみる。

…4002号室。

「40階…ね。」

直哉は、呆れながらオートロックの部屋番号を押した。

ピンボーン…。

数秒後「やっと来たな。」と一ノ瀬の声が聞こえた。

「時間通りですけど。」

「確かに!待ってたよ。二人とももう来てるから早く上がってこいよ。」

そう言われるや前方の自動ドアが開いた。直哉は、導かれるまま中へと入って行った。