~爽やかな朝が連れてくるもの~



「冷たいなぁ」


頬に触れる風を確認するかのように、柚は自分の頬を包む。
太陽は明るく辺りを照らすが、流れる風は少しずつ冬を運んでいる。


「秋ってあっという間なのよね」


言ってから、ふと笑えた。
ひとりごとを言っている自分がちょっと淋しい。


「冬が来るのかぁ…」


園庭に入り、いつものようにピンクの秋桜を眺める。
風にそよそよとなびく姿が愛おしい。


「待っててね。今、お水上げるからね」


いつものように優しく秋桜に話しかける。