「ふぁーぁ~~」

「さっきから何度目よ、そのあくび」

玄関で俺より先に靴を履いた麻里奈が俺を見下ろす。

「うるへーな…、寝たのにちゃんと…」


嘘なんだけどさ。
なんか、麻里奈のこと考えたら寝らんなかった。
意味わかんない。

だりーな、体が。


目を擦りながら、ふたりで家を出る。


「隼人の目がないっ」

突然、爆笑しだした。

「眠すぎて目が開かねーの!」

「ちょっとこっち向いて」

「?」

パァンッッッ

「いってぇ!?」

なんか急にビンタされた!
超いてぇ!

「目ぇ覚めた?」

麻里奈が笑いながら言う。

「覚めたゎ!」

もう、まじで目ぱっちりだわ。


「ちょ、ばか隼人。そっち中学校だから」

「あ、そっか」

この道、右に曲がっちゃだめか。 

「隼人だけ中学校行ってもいいけどっ」

今日はよく笑うな、麻里奈。
なんか良いこと合ったのかな。

「あ、麻里奈ちゃんに隼人くん!」

少し先に、可愛く手を振る莉舞がいた。

「あ、莉舞じゃん!おーい!」

「なにそのあたしとのテンションの差!」

隣で麻里奈が怒り始めるけど放置して、莉舞のところへ駆け寄る。

「ふたりとも、あっちなんだね。私は駅から歩いてくるから」

ニコニコ優しい笑顔の莉舞に癒される。