「うゎ。なにその頭」
「え、かっこよくない?」

幼馴染みん家の、玄関まで迎えにいってやったのに、第一声がこれだ。

「もっとさ、こうするんだよ!」
そう言って、俺の髪をわさわさっと崩す麻里奈。

「いーたーいー」
「ヤンキーなんだから我慢しなよっ」
「ヤンキーじゃねー!」
「どこがよ」

麻里奈が人差し指と親指でつまんでいた俺の髪は金色。

「なんか、ドラマのカッコいいひとは金髪じゃん?」
「それは元がいいのよ」
「ぶー…」

俺―水原隼人の幼馴染み、村山 麻里奈は、明るくて、ばかで、…ばかな女子!笑

でも、頼りになる。

今日は、高校に、入学して初の登校日!
超テンション上がる!

「なぁ、麻里奈!」
「なによ、テンション高いなぁ」

呆れた表情の麻里奈に構わず話を続ける。

「俺、高校入ったから、彼女ほしい!」

「ばっかじゃん!?」

けらけらと大声で笑い始める麻里奈。

「なんで!?超いい目標じゃんか!」

「あ、あんたみたいな、うるさいの、誰も好まないわよ。あー、お腹いたい」

そ、そんな涙でるほど笑わなくても…。

「ま、色んなひとがいるからね、頑張りなよ」

まだ表情に笑いの余韻を残したまま、麻里奈がそんなこと言うから、俄然やる気になる俺。

「よっしゃーっ、可愛い子見つけるぞーっ!」

「うるさいっつの」

ペシン、と頭を叩かれる。
「痛いなー」

「あらあら、隼人くんに麻里奈ちゃん。相変わらず仲が良いわねぇ」

玄関先で、掃除をしてたおばちゃんが振り返り、そんなことを、言う。


「おはよ、ばぁちゃん。麻里奈がいじめてくる~」
「おはよう、ばぁちゃん。隼人がまたあほなこと言ってるの!」

「賑やかで楽しいわねぇ」

俺たちは、小中とこの道を通って学校に行ってたから、ここら辺の家の人とは、大抵仲が良くなってる。