楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。
みんなでバーベキューをして、お酒も飲んで、男性陣はいつもの馬鹿騒ぎをして。
そして、施設のシャワーを浴びて、気付いたらおやすみの時間だった。
辺りのテントも一つまた一つと灯りが消えていく。
キャンプ場は闇に包まれていった。
「ひなも寝てるし、あたしも寝るわ」
紅さんはそう言ってテントに戻る。
慎吾もすでに蒼の車の中で寝ているようだ。
酔っ払いの賢一は、全く知らない女性たちの輪に入っていて。
あたしの周りにいるのは、蒼と優弥さんだけになった。
優弥さんはいつものように黙って煙草を吸い、ぼんやりと遠くを見ている。
そして、蒼はビニールシートに寝そべり上を見ていた。
遠くから女性と賢一の笑い声が聞こえてくる。
それを聞いて、
「馬鹿め」
優弥さんは小さく呟いた。