綺麗なプラチナブロンドがあたしの視界に入ってきたから、やって来たのはファビウスだってすぐわかった。


「グエン、来るなら来ると連絡をよこせといつもそう言っている……。こんなことなら、鍵なんて渡すんじゃなかった……」

そこまで言ったファビウスは、あたしの顔を見るなり固まったまま動かない。


「ファビウス、どういうこと? 孤児院は人さらいを雇ってあたしを誘拐したってほんとう?」


「グエン! お前が話したのか!?」

あたしはファビウスに訊いているのに、ファビウスはグエンに尋ねる。



「いや……あはは」

そのグエンは口の端を引きつらせて薄ら笑いを浮かべながら逃げるように出て行ってしまった。


「グエン!! アールには言うなと言っただろうが!!」

グエンに怒鳴るファビウスの声はとても大きくて、夕方でも近所迷惑になるんじゃないかっていうくらいだった。


……だけど。