「……――ただいま!!」


家に着き玄関に入ると、見慣れない革靴が置いてあった。


見るからに男物の革靴。


「おかえりなさい。伊織君、来てるわよ」


「うん。知ってる。伊織君、どこにいるの?」


リビングから出てきたお母さんにそう尋ねると、お母さんは平然と二階を指差した。


「姫子の部屋で待ってるって」


「ねぇ、お母さん。あたしももう高校生だよ?伊織君は幼なじみとはいえ男の子なのに」


「何、急に。少し前まで一緒にお風呂に入ってたのに」


「もうその話はやめてよね!!」


あたしはぷくっと頬を膨らませて階段を昇っていった。