午前8時、写真の前で手を合わせる。

(ごめんなさい)

そう心の中で呟くのが毎日の日課。

私は横に置いておいたスクールバッグを背負い、家を出た。


玄関から一歩外に出れば注目の的。

明るく染めた長い髪、ブレザーから出るフード、短すぎるスカートに時代遅れのルーズソックス。

目立ちたいわけではない。

ただなんとなくハメを外してみたかった。

壊れていく自分を派手な格好でせき止めていた。


学校に着いても、教室に入っても、私にかけられる言葉はない。

代わりに注がれる冷たい視線。

そんなことはもう慣れている。

私は表情ひとつ変えず自分の席へと向かった。

が、自分の席はない。

(今日はどこにあるんだろう)

私はのんきにそんなことを思った。

だっていつものこと。

私は今まで隠されていた場所を順に探した。

廊下、ベランダ、トイレ、隣の教室。

探し回る私を見てくすくす笑う声。

慣れている。

それでもこんな耳、壊れてしまえばいいのに。

何度もそう思った。