そこは都会だった。

学校、病院、洋服店と街には建物が立ち並んでいる。若者は皆、個性的な服に身を包んでいた。

「すげー」

「都会ね......まずいわ」

すると、洋服店の店員の中年女性がこちらに近づいて来た。

「あらあら、そこのお二人さん。そんな格好で、こっちの方がよくお似合いですわよ?」

そう言って、店員は 《 I fool 》と書かれたTシャツをカゲンに合わせた。

「いえ、いいわ。私達、急いでいるの」

「あーら、そうかえ?」

そう言うと、店員は洋服店に戻って行った。

「おばさん。それ、いくらするの?」

洋服店に若い二十歳前後の男性が訪れた。

「今日だけ特別、2000円だよ」

二人は、店員から免れたところで我に返る。

「カゲン、冷静にね」

ジュノはカゲンの耳元に口元を近づけて言った。

「ここでストーンを預ける人間を探すのは危険だわ。私達が神とばれれば、騒ぎになりかねない。あなたはあの学校へ、私は病院へ行くわ」

「あぁ」

「それから、ストーンを預けたら直ぐに元の世界へ戻りましょう。ここはアムールとは打って変わった世界、油断は禁物よ。分かっているでしょうけど、人間は神の力に慣れていないわ。必要以上に力は使わないことね」