アムール城の自然が実るだだっ広いホールの中は、アムールに住まう八百万(やおよろず)の神々で熱がこもっていた。

ヴィーナス女王から、ある神に指令があると言うのである。

その内容が何なのかはまだ分からない。
しかし、このような事があったのはいつの昔であっただろう......?

アムール国は神の世界の中では最も平和で住みやすい国である。戦争などの危機にさらされた事はない。
その為、滅多なことがない限り女王からの指令が出される事はなかった。

しかし、神々は緊張感を漂わせている者など一人もいなく皆落ち着いていた。
そこが人間と違うところなのだろう。

「なぁ、アル。指令だなんて久し振りだよな。何年ぶりだろうか......」

「700年ぶりだとよ。パリアが言ってた」

「あいつ、何でも覚えてやがるな。さすがだぜ」