「ごめんね。騒がしくって」
リビングから微かに聞こえる笑い声を気にしながら小声で謝罪する。
幸い玄関には鈴木くんの帰宅を咎める者はいなかった。
樹と早苗が上手くやっているようだ。
「楽しかったよ。あんなに賑やかなのは初めてだ」
「よかった。嫌がられてなくて。あの子たち遠慮がないでしょう?」
あははと愛想笑いをする鈴木くんに同調する。
鈴木くんはすっかり我が家では遊んでくれる大人として認識されてしまったようだ。
特に双子とひろむはことあるごとに、鈴木くんにゲームをねだった。
鈴木くんは樹や陽の予想よりずっとゲームが強かったらしい。
クリアできない敵を倒すコツなどを伝授すると、陽にしきりに尊敬の眼差しを向けられていた。
それは双子とひろむが風呂に入っている隙に逃げるように帰らなければならないほどだった。