ケータイ小説 野いちご

体育館12:25~それぞれのみる景色~

理想と、現実。


【サエSide】


「ねー、サエちゃん。あの2人、すごくかっこいいと思わない?」


 アタシが恭也と慶を目にしたのは、この時が初めてだった。


 移動教室で廊下を歩いている時に、そう言った隣りの子。


 彼女の指さす先には、アタシの理想を体現したかのような2人組が、窓から入り込む日差しを浴び、立っていた。


 隣りを歩く彼女が言う“あの2人”。


 1人はクールな王子様を思わせるかのような風貌で、もう1人は黒髪短髪にアクセじゃらじゃらのイカツイ感じの美形男子。


 佐伯恭也と、中原慶。


 入学してから僅か2日しか立っていないのに、ウワサは既に全校生徒が知っているんじゃないかというくらいに広がっていた。


 アタシもウワサは既に耳にしていたし、どんな人なんだろうって気にはなっていたけど、実際に見るのはそれが初めてのことだった。


 隣りではしゃぐ彼女に、「そうだね」なんて落ち着き払って答えたけど、心臓は飛び出しそうになるくらい高鳴っていた。



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