――ウィーン――

特有の音。
自動ドアが開きました。


「4名様ですか?」

「はい」

「では、S-102号室へどうぞ」


試合を終えた翌日、マリたちは4人揃ってカラオケにやってきました。


「歌いまくるぞー!」


負けた悔しさを歌って発散させようって魂胆。正しい発散のさせ方は練習あるのみだとは思うのですが、こんな時もありけりです。



一応カップル的な感じのマリヨシは、ちゃっかりお隣に座っちゃってます。

ルイコはそれを一瞥して、微笑みながらため息を漏らしました。

なんだか最初のキャラ設定がくつがえっている模様。
ルイコ、成長したんだね。


それに比べてあの大ボケ馬鹿っぷるは。

ヘタレが直る日が来るのは遠そうです。


マイクを握りこぶしをきかせるワリをぼんやりと見ていたルイコに、マリが近寄りました。


「……ルイコ……」

「……何?」

「あの……何ていうか、その……」


交際宣言ですか。それともノロケですか。


「いいわよもう」


ルイコはきっぱりと言い張りました。


「いいの。ヨシくんはただの憧れだったから。本当の恋なんてもんじゃなかったわ。勝手に仲良くやってなさいよ」


かっこいールイコ。

でもあんた本当の恋経験したことあんですか。弱冠14歳にして。


「うん……」


マリはストローからずずーと日本茶をすすりこみました。
マリはカテキン好きなのです。


「ルイコがペアで、よかったよ」

「あっそ」


マリは、ぶっきらぼうなルイコの言葉に小さく微笑みました。