帰宅したエリンは、庭で暗く沈んだ顔をしているレッドを見つけた。

「レッド?」


「お、おかえり・・・。」


「もしかしてリストラされた?」


「なぜ、それを・・・。」


「営業の担当はべつの職業への希望者を除いて、みんなリストラだから。」


「はぁ?な、なんでそんな。」


「正式な発表は明日か、明後日かもしれないけどリストラされた営業さんは、うちのいなくなった営業係になるのよ。」


「マジか?ってことは、俺は君の会社の営業担当ってことか?」


「ん~~~営業部長は申し訳ないけれど、もういるのよね。
それで、私が直接任命しちゃうけど、あなたには私のデザイン会社の方の営業本部長になってほしいの。」


「それって・・・新会社なのか?」


「ええ、私がデザインしたものを形にする会社よ。
そして、私のデザインで作ってほしいリクエストにも応えられればいいなっていう会社にもしたいわ。」


「それって、前にいってた君の夢の店だね。」



「ええ、一度は社長を解任されて、そしてこげつきや社員の逮捕者・・・短時間にいろいろなことがあってびっくりしたわ。
そしてそれを計画して実行を命じた人物もある程度特定されているの。

でも決定的な証拠がなくて・・・。
だけどその人物は、かわいいものが好きで横取りしては取った相手をつぶしにかかるかかるはずだから、絶対また仕掛けてくるはず。

そのときこそ、証拠をとってガオンティル社の怒りをぶつけてやらなきゃ!」


「どういうことなんだ?
俺にもわかるように説明してくれ。」



エリンはリガオンと相談していたことをすべてレッドに話した。

ガオンティル社の社長と近隣の社員たちは、本人たちの希望で社長の実家でもある農園で働くと決めていたが、リガオンたちはガオンティル社の整理をこなした後、ドネリティ社に移ってくることに決定した。


ガオンティル社はドネリティの子会社としてレストランを中心に食器を卸していくことに決定して、少数のメンバーでやっていくことになっている。


大半の社員がドネリティ社で働けるようになるが、エリンが社長をやるには退任して時間もさほどたっていないので、リガオンとドネリティ社の常務数名が共同で経営をしばらくすることになった。


そして、エリンは念願の自分のお店を持つことにした。



「それでいいのか?お父さんの会社をリガオンたちにくれてやるのか?」


「会社を愛して頑張ってくれる人なら大歓迎よ。
リガオンは言い方は冷たいけど、頭は私よりいいし、未来を見通す力は私よりずっと上だわ。」



「で・・・俺に君の新会社で働けと?」


「無理にとは言わないけど・・・だけど、知らない人は正直怖くて。
まだ見ぬ敵にほんとはおどおどしてるし・・・。」


「さっきの目星がついている相手か?」


「うん、女性なのはわかっているの・・・そして、リガオンが言うには私に何らかの接触もしてくるって。」


「ほんとは卑怯なのかもしれないけど、レッドとラングに助けてほしいな・・・って。
ごめんなさい・・・レッドはそういうの嫌いだと思ったんだけど・・・。」