「お嬢、そろそろ…」


時間が、やってきた。


2人とお別れの時間。


当分は会えない。


ダメだっ、涙が出ちゃうよ…っ。


「っ…史音?」


史音は何も言わず、ただ私の手を握り締めた。


もう、それが余計に涙を誘うって史音は知らないでしょ?


…バカ。


「瑠依、こっちへおいで」


遠くで組員といた瑠依をこちらへ呼ぶ。


話は聞こえていたんだろう。


…泣きそうな顔をしている。


「…瑠依、今までごめんね。これからは依亜が一緒にいてくれるわ」


「また会いにくる。それまで、笑顔で幸せに暮らせ」


「っうん。僕、2人の分も笑顔で暮らすよっ」


父さんと母さんの顔には涙が伝っていた。


その涙はなんの涙なのか。


それは私にはわからない。


だけど、辛くて泣いているわけじゃないって私は思う。


だって2人は笑顔だから。