「今日はねえ、篠宮さんに会いたいって人が来てるよ」



それを聞いて、

朝から良かった気分が一段と上がった。




「ミドレミレドレ ソラシドレミ  ドラシド」



鼻歌でも、私は音を外すようだ。


音痴は、音痴でしかないのか……と落胆してみても、気分の良い私の鼻歌は続く。




「呉羽ちゃん、ご機嫌ねえー」



うん、そうなの。


だって、最近顔を見せてくれなかった、ユズルさんが会いに来てくれたんだもん。

ご機嫌を通り越して、有頂天だよ。




「じゃあ、野ノ崎さん。案内してあげて」

「わかりました。さあ呉羽ちゃん、行きましょう」