ふと呼ばれた気がして、ロイズは目を覚ました。

まだ辺りは暗く、夜は明けていない…

ボンヤリとした意識のまま天井を見ると、月明かりが反射して、ゆらゆらとゆれている…

゛たぶんここは、宮殿の医務室だろう…゛

そんな事を思っていると、すぐ近くに気配を感じてベッドの右側を見た。

すると、大きなウミガメがベッドに両手を乗せていて、右手を上げると話しかけてきた。

「よぉ〜少年…具合はどうじゃ〜?」

「…大丈夫です、クメカ様…」

「それは良かった…わしはこの後、こそっと出て行くつもりじゃよ〜」

「そうですか…」

「その前に少年には、一言お礼を言ってから行こうと思うての〜?世話になったよ…ついでに陛下たちにも、よろしく伝えておいてくれんかの〜?」

「…分かりました」

クメカは静かに目を閉じると、言葉をつづけた。

「ここだけの話…わしが、死ぬのもいいと思っていたと言ったら、少年は信じるかの〜?」