「厳しいね~。
それで、ケニアには友達ときたの?
まさか一人できたわけじゃないよね?」



失礼なことを言っても怒るわけでもなく、サラッと流されて調子が狂う。
ヒーローは余裕があるものなのか......。

自称ヒーローは、私が一人で食堂にいるのが気になったのか辺りを見渡しながら、話題を変えた。



「一人だけど」


「は?マジで?
ケニアの治安がどれだけ悪いか知らないの?」



一人と答えた瞬間に、ちょっとこいつおかしいんじゃないのか、みたいな目で見られて、イラっとする。


たしかにアフリカ大陸は全体的に治安が悪いらしいけど、一人でアフリカ大陸を旅する日本人だって何人もいるし。

それに、日本だって昔みたいに治安が良いわけじゃないし、最近は悪くなっていく一方だ。



「知ってるけど、日本だって強盗とかあるし。
夜は出歩かないようにするし、大丈夫。

一人でくるのは、そんなにおかしい?」


「おかしいよ、クレイジーだよ。
日本も治安悪いとか、そういうレベルじゃないんだって!
男でも危ないのに、若いアジア系の女がフラフラ歩いてたら、すぐに狙われるよ?

俺なんて何度強盗に襲われたか......。
そのたびに返り討ちにしたけどねー?こう見えても、俺って超強いから」