それからさらに二日間、私たちは調査を続けたけれど、相変わらず何の成果も得られないままだった。



「え?
明日地球に帰るの?」



宇宙船の入り口の外で、夜寝る前のストレッチをしていたら、千明が突然地球に帰ると言い出した。



「うん、地球からの指示。
十分なサンプル量は集まったから、もう帰ってきてもいいらしいぜ?」



そうなんだ......、いつのまにかそんなに宇宙人を捕獲できてたんだ。


結局ウイルスのことは分からないままだったけど、私たちは自分のやるべきことをやったわけだし、後は研究所の人がなんとかしてくれるよね。


明日、帰れるんだ。


想像していたよりも上手くいきすぎて怖いような気もするけど、みんな無事だし、滞りなく任務が達成できて良かった。


千明と良かったねと言い合っていると、ブレットがこちらに近づいてくるのが見えた。



「アキ、少しいいか?
話がある」



いつもよりも低い声で、決して目を合わせようとしない彼に、なんだか胸騒ぎがする。

濃い色のサングラスをかけて、その表情は読み取れない。


ちょっと行ってくる、といった千明とブレットの背中を見送ってから、部屋に戻る気にもなれず、その場でストレッチを続けた。