それから数日後。

 あたしと詩織ちゃんは、店舗に立ちながら栄子主任の様子をチラチラと気にかけていた。


「ううーー……」

「栄子主任、大丈夫ですか?」

「ううぅーー……」


 お腹を押さえる栄子主任の顔色が悪い。今日はアレの2日目だそうで。


「まいっちゃうわ。薬飲んだんだけど、ちょっとタイミングがずれたみたい」

「かなり重そうですね?」

「なんかね、ここ数年で急に重くなってきたのよ。閉経へ向けてのラストスパートかしら」

「いや主任、ラストスパートってまだ若いですし」

「いいわよもう。あがっても構わないわ。これから子ども産む予定も無いんだから」

「は、はぁ。そんなもんですか?」

「なのに毎月毎月、まるでローンの催促みたいにキッチリくるのよ。まだ残ってるのかと思うとイラッとするわ」


 栄子主任はお腹を押さえて、また唸り出した。


「ううおぉー。あ、ドッと来た来た来た!」

「え、栄子主任、どうぞトイレ行って下さい」

「もう営業時間の終了まで、あと5分しかないですからー」

「ごめん! そうさせてもらうわ!」


 そう言ってヘッピリ腰でトイレに向かう姿を、詩織ちゃんとふたりで見送った。

 急げ頑張れ栄子主任ー!