中学1年。
それは新しい生活に胸を躍らせる時期。
私もそうだった。
小学校は普通に元気だったし、普通に友達も大勢いた。
というか、結構輪の中心系の奴だったと思う。
元々は話すのは大好きで、おしゃべりな方だった。
だから、中学もそんな普通の生活を送るんだと、
そう、思ってたんだ。
ーーー…。
それは突然だった。
咳が止まらなくて、ゲホゲホやっていたので、風邪かな?って思って病院に行った。
最初は普通に薬をもらった。
けど、それでも止まらなくて、変に思った医者は詳しい検査を受けろと、大きな病院に行かせた。
そこで告げられたのは、ニュースかなんかでよく言ってる病気。
“肺癌(はいがん)”だった。
左胸の肺に腫瘍があるらしい。
最初は呆然。
というか、信じられなかった。
私が癌になるなんて、全然想像してなかったし、
これはなんかの悪い夢だと思った。
それでも、現実は残酷で、すぐに入院となった。
何度も手術した。
何回も何回も、腫瘍を取り除いてもらった。
けど、それと同じ数だけ、腫瘍は転移して来る。
左胸には一生残る傷を負った。
それでも、最初は我慢した。
友達だって、心配して見舞いにも来てくれたりした。
「愛、大丈夫?」
「早く元気になりなよ!」
励ましてもらうのは嬉しかった、
まだ幼い私は、ただの言葉に救われていたのだ。
けど、現実は甘くなかった。
「あのさ…愛…。」
「何?」
「私たち、もうここに来るのやめるね。」
「え?」
「なんか、その、勉強も忙しくなったし、部活もあるし、その…だから…」
「ちょっ、ちょっと待ってよ!私たち友達でしょ?」
「う、うん…」
「じゃあいいじゃんか!来てよ!!」
「ーっ!だから、迷惑だって言ってんの!!」
「なっ…」
「私たちにも都合があるの!あんたなんかもう学校来れないんでしょ ?じゃあもういいじゃんか!」
『うんざりなんだよ!』
それは私の心に深く突き刺さった。
心にポカリと黒い穴が空いた。
もう人は信じない。
まだ中学生の私がそう思う理由には十分過ぎた。