最初に会った時、綺麗な子だと思った。
髪の毛は抜けてるし、化粧もしてない。
けど、その子は高校生に見えないほど、大人びていた。
柄にもなく心臓が暴れ出す。
なっなんだこれ⁉︎
これってまさか…。
一目惚れか⁉︎
あまり自分では言いたくないが、女には不自由したことがなかった俺。
元々そこらへんの媚びる女は嫌いだったから、いつも適当に付き合ってた。
けど、なんだか愛は他の女と違って。
すごく、綺麗だったんだ。
そんな愛の力になりたい。
心の底から思った。
そして、今。
一通り話し終えた愛は、一筋の涙を零した。
なんで、こんな普通の子が、
普通に生きたくてたまらない子が、こんな目に合うのだろうか。
ずっと苦しんでいたのだろう。
自分への苛立ちと、周りへの苛立ちがごっちゃになって、
とにかく苦しんでいたんだ。
そう思うと、こちらまで泣けてくる。
って、何言ってんだ俺!
俺はカウンセラー。
こういう時こそ、愛を励ましてやらなきゃいけねぇじゃねぇか!
「えっとよぉ…その…。」
あぁ〜っ!!
こういう時ってなんでなんも出てこねぇんだよ!
一人で頭を抱えていると、愛はクスリと笑った。
「えっ?」
なっなんで笑うんだよ。
「あっ…ごめん…。なんか面白くて。」
そう言って、また笑い出す。
その笑顔はなんだか穏やかで、すごくかわいかった。
また心臓が暴れ出す。
「あのさ、別に同情してもらいたくてこの話したわけじゃ無いから。」
一通り笑い終えると、そう付け足した愛。
「私ね、同情されるのとか、一番嫌いなの。なんか、見下されてる感じするし。」
みっ見下すって…。
なんか、こいつってホント、どこまでもひねくれてんな。
「でも…、久振りに本音聞いてもらった。余命宣告されてからは誰にも本音言ってなかったし…。」
…でも、やっぱりほっとけねぇな。
「じゃあ、これからは俺に何でもいいな。どんなことでも受け止めるから。」
古臭いセリフだけど、愛がそれで気が済むなら、俺は…
「うるさい。調子のんな。」
「ちょっ…それは傷つくぞ!」
ホント、こいつと分かり合えんのかね、俺。
てか、どーすればいいんだよ?