蒼介さんが通い始めた予備校は
現役生も浪人生も対象にした
大手の予備校で

カフェテリアから図書室、
自習室まで綺麗に完備されていて、

私の知っている塾のイメージとは
全然違っていた。

土日も授業が入っているので
最近は予備校で会うことが多くなっていた。



予備校のカフェテリアで
幾つかのパンフレットを抱えた
蒼介さんが、

私の隣に座った。


「モモもなんか授業受けるか?

高1対象の講義もあるぞ?」


そう言うとパンフレットのひとつを
開いて見せてくれた。


「一つくらい受けてみようかな」


予備校で受講している講座があれば、
堂々と蒼介さんと一緒に通えるし!



「お前のところ、付属だもんな。
受験しなくていいんだろ?」



「でも外部受ける子もいるよ。
一応、内部試験もあるんだよ」


「お前は外部は受けないだろ?」


「このまま系列の大学に行くと思う。

でも、私もなにか受けてみようかな。

そしたら、自習室で
蒼介さんと一緒に勉強できるし!」


パンフレットをめくりながら
いろいろとある講座に目を通す。


そんな私の隣で、蒼介さんは


「あー、もう、モモが俺のために
予備校にくるとかヤバすぎ。

もう、一樹に自慢したくて自慢したくて
たまらねぇ…」


と言って頭を優しく
撫でてくれるけれど…。


「蒼介さん、
そんなこと言ったら、
お兄ちゃんがどんな奇行にでるか…」



「……確かにな」



2人で、目を合わせて苦笑い。