side モモ


夏休みに入ると
すぐに花火大会の日がやってきた。

ママが昔、着ていた浴衣を着せてもらい
薄くメイクもして出かけた。

髪の毛も結い上げて、
今日は少しは大人っぽく見えるかな?

と、待ち合わせ場所に行くと…


うわぁ…….

蒼介さんも浴衣だぁ……


ものすごい人混みのなかで
浴衣を着た蒼介さんが
周りの注目を浴びて目立っていた。


がっしりと背の高い蒼介さんが
浴衣を着るとすごい存在感……



それに、蒼介さん
浴衣の胸元が開けていて
なんだか目のやり場に困る……


ってか、やっぱり、やだぁ……

蒼介さん、すごく目立つ……
周りの女の子が
みんな蒼介さんのこと見てるよ……


相変わらず近づきにくいなぁ…
と思っていると…



「おおっ、モモ。
浴衣めちゃくちゃ可愛いじゃん!

お前はホント、
レトロな感じが似合うなぁ。」


そう言いながら
指先で私の頬を優しくなぞる蒼介さんを
じっと見つめる。



「それって褒めてるの??」



「もちろん。
つうか、浴衣って初めて着た。
これ、涼しいな。

草履は歩きにくいけど。

ま、ほら行こうぜ。」


周りからの視線を
気にもとめず
グイグイと歩いていく
蒼介さんの後ろを
慌てて追いかける。



蒼介さんと手をつないで歩いていると
女の子たちの視線が
痛いほど突き刺さる。


やっぱり
なんだか、
居心地が悪いなぁ……。