side/モモ


家に帰ると、

仕事から帰ったパパが
ソファでくつろぎながら
新聞を読んでいた。



隣に座って、

なるべく不自然にならないように
話かけた。



「パパ、今週末はお休み?」




「ああ、午後から病院だけど、
どうした?」



新聞をたたんで、

笑顔を浮かべながら、
パパが顔を上げた。




「あのね、
お友達が遊びに来るんだけど、その…」



「じゃ、パパたち
出かけたほうがいいのかな?」



目尻を下げて嬉しそうに笑っているパパに


蒼介さんが来ることを

どうやって伝えようか迷いながら、


言葉を選ぶ。





「それが、パパにね、あの…

挨拶っていうか。

その、パパに会いたいんだって!

進路のことも相談したいって」




「そうか、そうか。
モモの友達はみんな真面目だからな。

わかった、わかった、あけておくよ」



目を細めて、
とても嬉しそうな顔をして

パパが答える。



そんなパパに、

小さく息をすって続けた。




「あ、あのね、パパ。

日曜日、遊びに来るのは

あの、そ、そ、そう…」




「ああ、掃除はちゃんとしておかないとな。

でも、モモはいつも

部屋を綺麗にしてるからな。

モモはえらいな」



「は、ははっ」



言えない…


蒼介さんが遊びに来るなんて、
とてもじゃないけど

言えないよ…



ニコニコと穏やかな笑顔を崩さない
パパに、


無理やり、笑顔を作った。