煌side*






「「………はぁ」」







……こっちがため息付きてぇよ。








辛気臭い顔して、何度目か分からないため息を吐く二人。








「「………はぁ」」








……もういい加減にしてくれ。








「「…………………はぁ」」









「お前らうっせーよ!」







ついに蒼がキレた。









「お前ら何?生徒会の姫さんなんてお前らには無理だって、俺いつか言ったよな?そもそも住む世界がちげぇんだよ」









和矢と玄武は揃いも揃って頭を落とす。









この二人は最近ずっとこの調子だ。








和矢が落ち込むのはまだ分からないでもない。






一時はずっと生徒会の姫のことしか考えてなかったし。






けど玄武まで和矢に負けない落ち込みっブリを発揮しやがった。








マジで……何だよ。






族の人間がこんなにも振り回されてるなんて。








そして俺の不安要素はこれだけではない。








時雨がここ最近通い詰めている購買の店員が、この学園の教師のことが好きらしい。






その教師は言わずと知れた生徒会の姫の兄で、兄妹そろって顔が整いすぎている。







しかもその教師…篠原は、大人の色気っつーものがやっぱりあって。







……はっきり言って、時雨も顔は整ってるし俺らの中じゃ命取りになりそうなほど優しいやつだけど、篠原と比べればまだ餓鬼だ。








……もし時雨がこのことを知ったら和矢と玄武と同じようにへこむだろう。








クソめんどくせぇ。








幹部の半数が精神的に弱ってたら、他の族に突っ込まれるっつーのに。








でも俺にそれを注意する権利はない。






蒼はただあいつを苦しめるためにボロクソ言ってやがるが、さらにあいつらは落ち込むだけ。










………愛だの恋だの言ってるうちに直ぐにダメになる。








……でもそれは今の俺だから言えることで。







いつかはこいつらみたいに、俺も恋愛に振り回されてたわけだ。








情けねぇな、と自分でも思う。







思わず付きそうになるため息を押さえて、ため息を未だ吐き続けている二人を見つめている実桜を見る。