「何故声がでている。」
ようやく、話の観点を言った。
たしかに数日で声が戻ったのはあきらかに不自然。
どうせなら、一生戻らなくてもよかった。
どうせなら、戻してくれなくてもよかった。
ずっとなくてもよかった。
「……………」
信じてもらえない。そんなことは、わかっている。
けれど、少しだけ。
期待してしまう。
この人達なら、と。
「………わかりません…」
「なんだと?」
「頭痛がしてから、急に戻りました。それ以上はわかりません。」
「嘘じゃないな?」
「はい。」
土方は平助のほうに目を向ける。
それに気づいた平助は少し慌てながらも何やら話しだした。
「いや、葵本当につらそうだったし、言ってることは本当じゃないか?」
土方は小さくため息をつくと、言った。
「いいか、今後のお前の仕事に変更はない。女中のままだ。いいな。」
「はい。」