恋愛の最も賢い楽しみかたは、「片思い」である。
世界観も恋愛観もかたよった、視野も人間関係も大の大人様には到底及ばぬ、私ではあるが、ここに堂々宣言しよう。
きっと、「そんなことはない」と言われればそれまでであるし、10年後の自分が同じように恋愛を語るかと言われれば、英語の中間考査ほどの、自信しかない。

ただ、言えることは齢16にして、それだけの事を、生意気にも口走りたくなるような 分岐点 があったわけで、それもまた事実、これからの人生訓に片思いの素晴らしさを刻みつけた、高2の梅雨時であったということである。

兎にも角にも、この物語を聞いてもらうに当たり、「どこから話そうか」と、言い尽くされた台詞を唱えて見るなら、どこからだろうか。

そうそれは、夕日の差し込むオレンジ色の教室で、そろそろ僕が重い腰を持ち上げた時だった。

とか、書き始めたいところだが、僕には風景描写にはいささか自信がないし。こんな書き出しでは、読者が減ること請け合いである。

そんな、読者諸君には僕の性格、(いや性質であろうか。)だけ頭に入れてもらえれば問題ない。

僕は、森羅万象、幾千数多のものが溢れかえるこの未知の世界で、七番目にバレーボールが嫌いであった。