それからというもの
男は、母がお風呂に入ってる隙に
私に近づいてくるようになった。



「真弓ちゃんは
まだ処女だよね?」


「・・・・・・」


「初めての相手になってあげようか?」


「・・・・・・」


「怖がらなくても、優しくしてあげるよ」


「・・・・・・」



こんな狭い空間で



・・・逃げ道なんてない。


私には、聞き流すしかできない。


ひたすら黙って

少しでも離れた距離に座るしかできない。



「お母さん、あのね」


男がいない時
母に打ち明けようとした事もあった。


「改まってどうしたの?」


「あの男の事なんだけど・・」


「あの男なんて言わないで!」


「あ、ごめ・・・」


「で?何なの?」


「変な事言ってくるんだけど・・」


「変な事って?」


「・・・・」


「はぁ・・。真弓
お母さんが再婚するの反対なの?
お母さんは、真弓が成人するまで
幸せになったらいけない?」


「そういうんじゃないの。ごめん
何でもない・・・」


まさか、あの母から
そんな言葉がでるなんて思わなかった私は
もう、何も言えなくなってしまった。