「私、バレー部を辞めます。」


私は顧問の前でそう告げた。


一年生部員のいる中で。


「なんでだ?」


「………練習に、ついていけません。」


半分本当で半分嘘、だ。


確かに練習はきつい。足だって限界だ。


けれど、それ以上に。


"孤独感"の方が、私を縛った───。


部活が嫌いなわけじゃない。


バレーを嫌ったわけじゃない。


でも、それでも。


私は、皆と"同じ"じゃない───。


一度も試合に出してもらえず、一度もレギュラーに選ばれず、実践形式の練習でもただひたすらサーブを打つだけの私が、バレー部にいてなにかあるのだろうか?


"必要"とされているのだろうか?


莉乃もレギュラーになったことはないが、レシーバー、セッターとして琉菜と一緒に実践形式の練習に参加したことはあった。


つまり、まともに参加していないのは私だけなのだ。


これは、単なる思い込みなのかもしれない。


けれど、たとえ思い込みだとしても私にはとても苦痛の日々で。


部活を休みたくても休めなくて。


それに、背中を押してくれたひともいた。


隣のクラスの、小桜さん。


彼女はゆかりと同じく吹奏楽部で、私が迷ってるって話したら「協力する!」
って言ってくれた。


そのおかげで、今に至るのだけれど。