歳を重ねるごとに募る想い・・・
何度も泣いて慰められて・・・

そしてあたしは成長してきたと思う。

だから、解ってしまった。

私が好きって事は、
一生、その人と添い遂げるって事は
つまり・・・

王にするという事だ。

その相手に、あたしではなく
この国・・・つまりファルゴアを
背負わせるという事だ。

この鍛冶屋として将来有望な青年の未来を
強制的に変えてしまう事になるんだ・・・

「あはは、これまたうまいなぁー」
あたしの作ったお弁当を食べながら
セルヴァンは笑った。

今朝早くから起きて
お城のコックに教わりながら
一生懸命作った。

鍛冶屋の仕事の合間だがら
味付けは濃くしてある。
自分でも会心の出来だった。

作業場の裏手、
少し開けた丘になっている場所で
お弁当を挟んで地面に
布を敷いて座る
「前より確実に
 上手くなってるでしょ?」
得意顔の私を横目でみて
クスって感じで笑って頷き
セルヴァンは次のおかずに手を伸ばす。