文久三年卯月。

私、雪乃咲がここ、幕末に渡ってきて約1年が経った。

雪華「もう、1年になるんだ・・ここの生活にもずいぶん慣れたな〜。」

約一年前に私は突然ここに来た。これはお菊(女主人)から聞いた話しだけど、遊郭の門前で倒れていたらしい。それから今までここで働いている。


秀「雪華ねぇはん、そろそろ座敷に上がる仕度を・・・」

雪華「へえ、分かっとりますえ」

秀「そうどしたか。えろうすんまへん。」

雪華「別に構いまへんよ?ほんなら仕度してきますぅ。」

秀「へぇ。」


そうして、私は煌びやかな着物に身を包んだ。髪を整え、簪を刺し、紅をさし、白粉を着けた。私はこの白粉の匂いがあまり好きではない。


暫くすると・・・


秀「雪華ねぇはん、愛状かかりましたえ。」

雪華「へぇ。今行きますぅ。」


スッ


私はまだ気づいてなかった。この出会いこそが、自分の未来を大きく変える事になるとは・・・

スッ

雪華「雪華どす。今日はよしなに頼みますぅ。」

?「あぁ。」


座敷にはそこそこ美丈夫な男か一人座っていた。

?「取り敢えず酌して貰っていいか?」


雪華「勿論どす。」


私は男の近くに歩み寄り酌をした。


?「噂通り変わった花魁だな。絶対に媚びたりしない。・・・ 俺でも駄目か〜ボソッ」


雪華 (はぁ〜また女を抱くために来た男か。つーかボソッって言ったの聞こえてんだけど!)