ケータイ小説 野いちご

てのひらの温度

Sec.1 ひとりと少年



突然、何もかも捨てたくなるときって、誰にでもあると思う。



とりあえず一駅分の切符を買ってホームに降りた。荷物は小さな旅行鞄と、さっきコンビニで購入した弁当の入ったビニール袋だけ。

鞄を肩に掛け、風でカサカサパリパリと音を立てるビニール袋を振りながら歩く。

平日昼下がりのホームは人がまばらだ。井戸端会議と大差ないであろう会話をする年配の女性二人組や、イヤホンを耳に突っ込み個性的なファッションをする男や、小さな子供の手を引く華奢な女の人。

こんなばらばらな人たちの中で自分は目立たないことに、安堵と物足りなさを覚えた。


ここはちっぽけな駅で、線路は上りと下りの二線しかない。それ故ホームはひとつだから、電車は両側に止まる。

行き先はどこでもいい。先に来た方の電車に乗ろうと思っていた。

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