うん。やっぱりお昼もひとりだよね。

 庭園張りの中庭のベンチに座る。

「一人は慣れてるし」

 寂しくなんかないし。

「何に慣れてるって?」

 この声。

 振り向くと会長さんが立っていた。

「会長さんもここで食べてるんですね。ご一緒してもいいですか?」

 やっぱりご飯は一人じゃ味気ない。これ、私の持論。

「構わない。

 会長さんは基本的に食べながら話さないけど、不思議と無言の空間の居心地は良かった。

 この日から、私は会長さんと一緒に昼食を摂るようになった。


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 紘side

 昼休み。今日は天気がいい。中庭で飯にするか。あそこは人もいないし。

 中庭へ行くと、川口がベンチで弁当を食べていた。

 嬉しさがこみ上げる。川口のもとへ近づくと、呟き声が聞こえた。

「一人は慣れてるし」

 川口は口を尖らせる。

 その顔も可愛いが、笑ってるほうがいい。

「何に慣れてるって?」

 声をかけると、川口は嬉しそうに笑った。

「会長さんもここで食べてるんですね。ご一緒してもいいですか?」

「構わない」

 むしろラッキーだ。

 この日から、晴れた日の昼は川口と一緒にいられるようになった。