アル王子はとてもいい人だった。
礼服に包まれても
その肉体が
鍛え抜かれているのが分かる。

長身でガッシリと
安心感のある印象なのに
笑うと目じりに出来る笑い皺が
とてもかわいくて魅力的だった。

タシーの話では、昨日から続けて
夜は各国の姫や国内の要人の令嬢に
対応しているのに
疲れた表情もみせず
私の話を聞いてくれた。

王と王妃と王子が現れたのは、
優雅な食事がすんで
しばらく経ってからだった。

城から馬車で劇場に入り
用意してある個室まで
見事な待遇で誘導。

既に劇場内からは
音楽が聞こえる
柔らかい赤絨毯が続く
白い大理石の床
狭いけど心地よい光に満たされた
階段や通路
柱や天井に施された
彫刻が目に入って楽しい。