☆由真side☆



 お兄様が出て行き、私は再び涼馬くんのいる部屋へ向かい、その扉を開いた。


 やっぱり、寝ている。


 可愛いなぁ・・・。



 無防備な姿が、良いかも。





 ふと、彼の右目にある、痛々しい眼帯に目が行く。


 視力がないわけではない。


 ただ、癒えない傷がある・・・。





「・・・どうされましたか?」



 声がして、驚いて立ち上がる。


 低くてもよく通る声を持つ主の目が、そっと開く。



「あ・・・ごめん。
起こしちゃった?」



「お気になさらず。
先ほどから起きておりましたから」



「え?
先ほどって、どれぐらい?」



「由真のお兄様が入ってきた時でございます」



 由真って呼んでくれた!


 お願いした甲斐があったわ!