「いってきまーす」



トントンと靴を鳴らし、玄関を出て学校へと向かった。



あたしの名前は、

文場 笑理
(もんば にこり)



ここA市の西区にある黒冬学園に通う、普通の女子高生だ。



そう、あたしは普通である。



名前はキラキラネームだから普通っぽくないけど、勉強が出来るとか、運動神経抜群とか、誰もが振り向く美少女っていう訳でもない。



ちょっと赤寄りの茶髪で、長さは胸の辺りまで。癖っ毛だから毛先がうねってる。前髪は長めだから、いつもゴムで結んでる。そんな感じの見た目だ。



唯一自分が認める長所は、この明るい性格である。名は体を表すというが、その通りだと思う。だってすでに名前が笑ってるしね。



高校生活は充実しているし、何の問題もない。先日購入したハンカチは安くかった上に可愛いし、道端で五百円も拾った。



なんとなく、幸運が取り巻いている気がする。このまま彼氏とかできたら、ミッチーに自慢できるのになー……なんてね!