私の運命は生まれたその日から決まっていた。
“人柱”
この村が昔、鬼に襲われたときに生贄となった村娘が始まり。その後村に災いが降りかかる度に、鬼を鎮めるために生贄が捧げられた。
いつしかそれが村の風習となり十年に一度
人柱が捧げられることとなった。
村の歴史書には人柱のことは“生贄”と書かずに“巫女”と書かれており、「村の皆に愛され育った巫女が十歳の誕生日を迎えるときに村から旅立ってゆく。」と記されている。


今日で、
前の娘が人柱となって九年と十一ヶ月
私が人柱候補となって九年と十一ヶ月
後一ヶ月、
それが私に与えられた最後の時間。
来年の一月一日、その日私は“人柱”となる。

人柱は前人柱が捧げられたときに満八歳の村娘が候補としてあげられ、その中より最も貧しい者が選ばれる。
私の両親は決して貧しかった訳ではない。ただ、その時満八歳だった者が少なかったというのと、皆村長の家計のものだったという不幸が重なり、私になったのだ。