春。 出会いの季節。 別れの季節。 そして――――― 『恋』の季節。 私はこの季節が大嫌いだ。 なぜなら、誰もが浮かれ、訳もなく笑みをこぼし、そして『愛』を求めよ うとするから。 『愛』何てものは宛にならない。 所詮、『愛』何かには影も形もないもの。 自分が『好きだ』といって、相手が返してくれればそれでもう満足。 只の自己満足なのよ。きっと。 私は、ずっとそう思っていた。 ―――――そう思っていた、はずなのに。